ピノ・ノワールの特徴と見分け方|ソムリエ・ワインエキスパート二次試験対策

ブドウ品種

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験の二次試験対策として、今回はピノ・ノワールを取り上げます。

ピノ・ノワールは、おそらく世界で最も人気の高い赤ワイン品種と言ってもいいでしょう。ロマネ・コンティをはじめ、世界最高額クラスのワインを生み出す品種でもあります。だから試験でも当然重要です。

ただ、皆さんに最初に覚えてほしいのは、「高級ワインの品種」ということではありません。

「栽培は非常に難しい。でも、うまくいった時の価値は計り知れない。」

まずは、このイメージを持ってください。この一文が、ピノ・ノワールという品種の本質だと僕は思っています。


ピノ・ノワールは、とにかく気難しい品種です

ピノ・ノワールは果皮が薄く、病害にも弱い品種です。さらにテロワールへの反応が非常に敏感で、畑が少し違うだけで味わいが変わり、気候が少し違うだけで香りも大きく変化します。

だから昔から、

「もっとも気まぐれな品種」

と言われてきました。

でも逆に言えば、その土地の個性を誰よりも素直に表現できる品種でもあります。ブルゴーニュのグラン・クリュが世界中のワインファンを魅了し続けている理由も、この品種の持つ繊細さにあるんですね。


昔は「ピノ・ノワールは旅をしない」と言われていました

僕がワインを勉強し始めた20年以上前。当時は、

「ピノ・ノワールは旅をしない。」

そんな言葉をよく聞きました。

どういう意味かというと、ブルゴーニュを離れると良いワインにならない、ということです。

シャルドネなら世界中どこへ行っても、それなりに成功する。でもピノ・ノワールだけは、ブルゴーニュ以外ではなかなか難しい。そんな時代でした。

もちろん当時もカリフォルニアやニュージーランドのピノ・ノワールはありました。でも正直なところ、「まだブルゴーニュには遠く及ばない。」そんな評価が一般的だったと思います。

ところが、この20年ほどで状況は劇的に変わりました。栽培技術も醸造技術も進歩し、生産者の経験も蓄積され、今ではブルゴーニュ以外でも本当に素晴らしいピノ・ノワールが世界中で造られるようになっています。昔の常識は、もう通用しなくなりました。


突然変異が多い品種

ピノ・ノワールは、とても古いブドウ品種です。そして、突然変異が非常に起きやすいことでも知られています。

皆さんも聞いたことがあると思いますが、

  • ピノ・グリ
  • ピノ・ブラン

実はこれらも、ピノ・ノワールから生まれた変異種です。さらに世界中には数え切れないほどのクローンが存在し、ディジョンクローンやエイベル・クローンなどが有名ですね。

つまり「ピノ・ノワール」と言っても、実際には様々な個性を持ったピノ・ノワールが存在するということです。だから栽培も難しいし、生産者の腕によって仕上がりも大きく変わる。この品種の面白さでもあり、難しさでもあります。


外観の特徴

では、試験対策として見ていきましょう。まず外観です。

ピノ・ノワールは基本的に色が淡い品種です。若いうちは美しいルビー色で、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーのような黒紫にはなりません。

もちろん造り方や産地によって多少の違いはあり、最近は色の濃いピノ・ノワールもあります。それでも「明るめのルビー」、これがまず基本です。

試験でグラスを見て「色が薄いな」と思ったら、まずピノ・ノワールを候補に入れてください。


香りの特徴

僕は、ピノ・ノワール最大の魅力は香りだと思っています。とにかく華やか。そして上品。でも派手ではありません。そこがピノ・ノワールらしいところです。

まず感じやすいのは赤系果実です。

  • フランボワーズ
  • ラズベリー
  • クランベリー
  • グロゼイユ
  • イチゴ
  • チェリー

この辺りは非常に典型的です。ただ、それだけなら他の品種にもあります。ピノ・ノワールらしさは、その奥にあります。

  • スミレ
  • 野バラ
  • 紅茶
  • なめし革
  • リコリス

さらに熟成すると、猟鳥獣肉(ジビエ)を思わせるようなニュアンスまで出てきます。

僕はよく、

「上品なんだけど、色気がある。」

そんな表現をします。

決して派手に主張するタイプではありません。でもグラスの中で少しずつ表情が変わり、飲むたびに新しい香りが出てくる。そんな官能的な魅力を持った品種だからこそ、世界中に熱狂的なファンがいるんですね。


味わいの特徴

味わいの中心になるのは酸です。ピノ・ノワールは酸が豊かな品種で、タンニンもあります。

ただ、そのタンニンは決して荒々しくありません。

シルキー。

この一言で表現できるほど、非常にきめ細かいタンニンです。ここは試験でもぜひ覚えてください。

アルコールについては、中庸と考えておけば十分です。もちろん近年は温暖化の影響でブルゴーニュでも15%近いワインが珍しくなくなってきましたが、それは例外として考えましょう。

試験対策としては、

  • 酸が豊か
  • タンニンはシルキー
  • アルコールは中庸

まずはこの3点を基準に考えてください。あまり例外ばかり覚えようとしないことです。試験では、まず基本を押さえることの方が大切です。

ピノ・ノワールに適した土壌

ピノ・ノワールは、基本的には石灰岩を含む粘土石灰質土壌との相性が非常に良い品種です。世界最高峰と言われるブルゴーニュのコート・ドールも、この土壌条件が大きな魅力になっています。

石灰を含む土壌では、ピノ・ノワールらしいエレガントさや繊細さが表現されやすいんですね。

ただ、これは絶対ではありません。例えばドイツのアール地方のような非常に冷涼な地域では、熱を蓄えやすいスレートやシスト土壌に植えられることもあります。

結局は、

その土地の気候に合わせて、一番ブドウがきちんと熟す土壌が選ばれる。

そう考えると理解しやすいと思います。


二次試験では、まず3か国だけ考えましょう

ここは毎年受験生に言っていることです。

ピノ・ノワールは世界中で造られています。フランス、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、ドイツ、チリ、日本、オレゴン……まだまだあります。

でも、それを全部覚えようとすると大変です。しかも試験でそこまで細かい問題が出ることは、それほど多くありません。

だから僕なら、まずこの3か国だけ覚えます。

  • フランス
  • アメリカ
  • ニュージーランド

まずはこれで十分です。試験は国名を答える問題です。あまり難しく考えなくて大丈夫です。


ワインに詳しい人ほど、考えすぎます

これは毎年見ていて思います。ワインを飲み慣れている人ほど、

「これは南アフリカかもしれない。」
「オレゴンっぽい。」
「いや、実はドイツかな。」

そんなふうに考え始めます。でも、それで正解から離れてしまうことも少なくありません。

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験は、もちろん難しい試験です。でも、あくまで資格認定試験です。超マニアックな産地ばかり出題されるわけではありません。

だから、

考えすぎない。

これは試験では意外と大事なテクニックです。まずは王道から考える。その方が点数につながることが多いと思います。


フランスのピノ・ノワール

まず基準になるのはブルゴーニュです。僕はいつも、

「ブルゴーニュを基準の味にしてください。」

と言っています。

ここがスタートです。

ブルゴーニュのピノ・ノワールは、酸が美しく、香りは上品で、果実味だけでは終わらない複雑さがあります。まずはこのスタイルを頭の中に作ってください。ここが基準になります。


アメリカのピノ・ノワール

試験なら、基本的にはカリフォルニアをイメージすれば十分です。

ブルゴーニュよりも、

  • 果実味が豊か
  • 色調もやや濃い
  • 新樽の印象が出やすい
  • ジューシー
  • ジャミー

そんな方向になりやすいです。

もちろん、生産者によってかなり違います。でも二次試験なら、このくらいのイメージで十分戦えます。


ニュージーランドのピノ・ノワール

近年、本当に評価が高くなった産地です。僕が勉強を始めた頃とは、ずいぶん印象が変わりました。

ニュージーランドは、ブルゴーニュほど繊細ではないけれど、カリフォルニアほど完熟でもない。その中間くらいのイメージを持っています。

時には、

  • オレンジピール
  • 生茎

のようなニュアンスを感じることもあります。

ただ、この辺まで細かく覚える必要はありません。

「冷涼感があって、果実味もきれい。」

まずはそのくらいのイメージで十分です。


その他の産地

もちろん、世界には他にも素晴らしいピノ・ノワールの産地があります。

  • オーストラリア(ヤラ・ヴァレー)
  • ドイツ(シュペートブルグンダー)
  • 北海道
  • オレゴン
  • アルザス
  • ロワール
  • チリ沿岸部

どれも魅力的な産地ですが、まずは王道を押さえること。それが試験では一番大切です。


グレード感はどこを見る?

ピノ・ノワールは価格差が非常に大きい品種です。数千円のものもあれば、何百万円というワインもあります。

では何が違うのか。僕はまず香りを見ます。

高級なピノ・ノワールほど、香りの層が増えていきます。最初は赤い果実、少し時間が経つと花、さらに紅茶、革、スパイス……そんなふうに次々と表情が変わります。

そして余韻です。高級になるほど香りが長く続き、タンニンもさらにきめ細かくなります。

単純に果実味が濃いから高級なのではありません。

繊細さや複雑さ。

ここを見てください。


試験では、どういう順番で考える?

僕なら、こんな順番です。

  • まず外観。「色は薄いかな?」
  • 次に香り。赤系果実が中心かな? 花や紅茶はあるかな?
  • 最後に味わい。酸はしっかりあるかな? タンニンはシルキーかな?

この流れで考えると、自然とピノ・ノワールが候補に上がってきます。

逆に最初から「これはブルゴーニュかな?」と産地を考え始めると迷います。

まずは品種。そのあとに産地。

この順番で考えた方が、僕は判断しやすいと思っています。


まとめ

ピノ・ノワールは、世界最高峰のワインを生み出す品種です。でも、その理由は派手さではありません。

繊細さ、エレガントさ、そして複雑さ。

ここに、この品種の魅力があります。

二次試験では、まず次の5つをしっかり押さえてください。

  • 明るいルビー色
  • 赤系果実
  • スミレや紅茶などの上品な香り
  • 豊かな酸
  • シルキーなタンニン

そして産地は、まずフランス・アメリカ・ニュージーランド。あまり考えすぎないこと。これが、僕が皆さんに一番伝えたい試験対策です。

産地ごとの見分け方や、ガメイ・マスカット・ベーリーA・サンジョヴェーゼなど、間違えやすい品種との判別ポイントについては、別の記事で詳しく解説していきます。

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