【超重要】凡人流テイスティング術とは?? & お盆明けからの2次試験対策スケジュール

2次試験対策

この記事では、私が長年ワインスクールで指導してきた経験をもとに、ソムリエ/ワインエキスパート二次試験(テイスティング)の対策を、ゼロから本番直前までの流れとして体系化します。
単なる暗記やセンス頼みではなく、「大部分の方が再現できる方法論=凡人流テイスティング」をベースに、フェーズごとに到達目標と具体的アクションを提示します。

この時期になると やたら見かける いらすとや さんの テイスティングイメージ。

0フェーズ(準備段階):「そもそも論」を理解する

いきなりワインを並べて練習する前に、まず前提(そもそも論)を共有しておきます。

  • テイスティングの本質
    漫画やテレビなどで出てくるテイスティングに影響されていませんか?
    テイスティングは「100%当てる超能力」ではありません。実際には、そんなにピタッと当たるものではないし、わかることよりもわからないことの方が多いのが普通です。
    「当たり前すぎることを当たり前のまま表現する」ことも立派な評価の一部です。
  • 嗅覚・味覚の個人差
    味覚・嗅覚は個人差が非常に大きい感覚器官です。人によっては嗅覚がやや鈍い/非常に鋭敏などの差があり、さらに「ある香り分子は感じにくいが、別の香り分子には鋭敏」という個体差もあります。つまり、同じワインに対して異なる感想があっても、その二つに優劣はありません。
    (逆に、視覚は、ほとんどの方で同じ感覚を共有できるものです)
  • 試験の性格
    この試験はコンテストではなく合否試験です。1位を取る必要はなく、合格ラインに到達すればよい。難しいワインを無理に当てに行くより、「当たり前のワインを当たり前のレベルで」答えられることが重要です。

この「そもそも論」を理解しておくことで、不要なプレッシャーから解放され、戦略的に学習を進められます。


凡人流テイスティング術とは

このサイトで展開していくのは、私が提唱する「凡人流(ぼんじんりゅう)テイスティング術」です。
ワインスクールの講師などでも、非常に感覚的で常人には理解しがたい説明をする人もたまにいます。(ソムリエ協会の上層部にもいます・笑)
私のやり方は、そういう一部の人だけが持つ特殊な才覚や個人的な感覚に依存せず、大部分の方が同意できるレベルの感覚知覚レベルの情報を積み重ねて、ほとんどの方が一定のレベルまで確実に到達できる方法論です。

  • 型(フォーム)を重視:外観→香り→味わいの観察順序着目点を固定化する。
  • アウトライン取り:ワインの味わい全体の方向性(酸・アルコール・ボディ・タンニン・熟成感などの総合情報から得られる印象)を把握する。
  • 知識×観察の統合:品種・産地・醸造・ヴィンテージの知識を、現物の分析に結びつけ、同定する。

「平凡な人でも、正しい手順と材料があれば合格ラインに届く」。これが凡人流の根幹です。


学習・トレーニングの全体フローと時期の目安

学習の進め方は大きく4つのステップ(+移行期)に分けます。
それぞれの受験生の皆さんの仕上がりにはバラつきがあるのが今の時期です。
ご自身の現在地はどのあたりなのか、考えながら読んでみてください。

ゼロフェーズ(第1フェーズの前段階)

対象:いまからゼロで始める人/前提が曖昧な人
やること:上記の「そもそも論」と、二次試験の実施要項・過去の合格率・大まかな出題形式の把握。
備考:この前提が抜けている人は意外と多いので、まだの方はまずは至急ここから。

セルフチェック:ゼロフェーズ
  • 試験の出題ワイン数と試験時間を知っているか?
  • 2次試験のマーク解答の選択用語シートを見たことがあるか?
  • 4つの出題ワイン(ワインエキスパートの場合)のうち、どの程度当てればよいか知っているか?
  • ワインスクールで先生のテイスティング解答を丸写しして済ませていないか?
    (先生の鼻・口は自分の鼻・口と違う)

第1フェーズ:基礎力養成(できれば8月前半まで/まだの人も9月までに)

目的:試験形式に合わせる前に、テイスティングの基礎体力を作る。
期間の目安:できれば8月前半までに完了。まだの人も9月までには終わらせる。

(A)知識の再構築

  • 品種:主要品種の香り・酸・ボディ・渋味・典型的スタイル。
  • 産地:気候・土壌・代表的ワインの輪郭(冷涼=酸高め/温暖=アルコール高め等)。
  • 醸造:MLFの影響、樽(材・サイズ・新樽比率)、シュール・リー/バトナージュのテクスチャへの影響など。
  • ヴィンテージ:二次では必須ではないが、理解しておくと見立ての解像度が上がる。

一次試験の暗記モードから、実物の分析に結びつく知識へと並べ替えるのがポイント。

(B)フォームの固定化とアウトライン取り

  • 外観:色調・濃淡・粘性(MLF/樽/熟成の示唆)。
  • 香り:一次(果実・花)/二次(発酵・MLF)/三次(熟成・酸化)のレイヤー意識。
  • 味わい:酸・甘味・アルコール・ボディ・タンニン・余韻の整理。
  • アウトライン:上の要素から短時間で骨格を要約し、候補の方向性(冷涼系白?温暖系赤?樽あり?)を掴む。

第1フェーズのゴール:
知識(品種・産地・醸造・ヴィンテージ)と、観察分析(外観/香り/味わい)と、アウトライン取りを自分の頭の中で統合できる。
目の前のワインに対し、「このワインは〇〇国の△△品種では?」という仮説を根拠をもって複数立てられる状態。
※現役のソムリエの方は、業務でこのレベルに近い人もいます。

セルフチェック:第一フェーズ
  • シャルドネの非樽熟タイプと樽熟タイプで香り・味わいがどう変わるか、そしてなぜ変わるかを説明できるか?
  • ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの外観・香り・味わいのイメージが湧くか?
  • アメリカンオーク樽熟成とフレンチオーク樽熟成で香りがどう変わるか理解できているか?
  • 赤ワインに向き合ったとき、それがフルーツフォワードかどうか判別できるか?
  • 白ワインの味わいのタイプを系統的に6分類以上にできるか?


1.5フェーズ(移行期):過去問分析(〜8/20ごろ)

狙い:第1フェーズの基礎を、出題傾向に触れながら次フェーズへ橋渡し。
やること:

  • 昨年・一昨年は必須、可能なら10年分まで遡って傾向把握。
  • 正解となった選択用語配点を確認(昨年は協会HPで参照可能)。
  • 自分で仮説を立てる:正解ワインの国・品種・典型的特徴、点が来る用語のパターン。

講師の解釈を聞く前に、自分の頭で考えることで定着が段違いに良くなります(あとで答え合わせ可)。

セルフチェック:第1.5フェーズ(移行期間)
  • 昨年の出題ワインのマーク解答を、自分なりに分析したか?
  • 過去10年ほどで、どういった産地・品種が出題されているか把握しているか?

第2フェーズ:試験形式への適応(8/25〜9/20目安)

ここから完全に試験仕様にスライドします。
基礎(第1)+過去問知見(1.5)を、合格に直結する形に最適化する段階です。

(1)知識面の最適化:選択問題化する

  • 白は約20種/赤は約20種固定化(=実質、選択問題化)。
  • 出題者の視点で「試験で使いやすい典型性のあるワイン」にフォーカス。
  • 難解なワインを無理に当てに行かない。「当たり前のワインを当たり前に」でよい。

この割り切りは、試験が合否試験であるという前提(高得点不要)に基づく戦略です。

(2)分析面の最適化:統計×アウトライン

  • 第1フェーズで確立したアウトライン取りを軸に、
  • 過去問の統計(得点が来やすい用語・頻出パターン)を重ね合わせる。
  • 「酸が滑らか/しなやか」など曖昧な語は、感覚に頼りすぎず統計で処理して安定化。

最終的には、観察と統計のハイブリッドで確率的に点を積むフォームを作ります。

(3)マーク用語の理解とマーク戦略

用語の意味だけでなく、試験でどう使われているか(使われ方の変遷)を把握します。講師側には10年以上の蓄積があるため、その傾向を踏まえて教えます。

  • 攻めのマーク打ち:難易度の低いワインは、取りこぼさず点を伸ばす選択。
  • 守りのマーク打ち:難易度が高いワインは、トリッキーを避けて確実に拾う。

注意:マークの打ち方は得点に直結しますが、マーク=品種同定ではありません。品種・産地の同定は、単純化した知識と、アウトラインによる絞り込みを統合して行います。

第2フェーズの目安:9/20頃までに一通り形に。そこから本番(10/6想定)までの約15日は、実戦練習と微調整に集中。

この 凡人メソッド中核理論 については、ぜひスクール or 今後公開するnote記事でご覧ください。
セルフチェック:第2フェーズ(試験即応アレンジ)
  • 「チリのカベルネ・ソーヴィニヨン/2023年/小売2,000円程度」と提示されたとき、実物がなくても標準的プロファイルを想起し、整合性のあるマークを打てるか?
  • マーク解答用語それぞれについて、来年度の受験生に端的に説明できるか?(試験での“使われ方”まで含めて)
  • 1つのワインに対し、産地・品種の組み合わせで第1候補/第2候補など複数の仮説を立てられるか?
  • 外観・香り・味わいの各マークが相互に連動しており、統一感のある回答になっているか?(用語同士の矛盾がないか)

直前15日(9/21〜本番前日):実戦あるのみ

  • 時間配分の最終調整(1杯あたりの持ち時間を固定)。
  • 弱点(品種群・用語群)の集中的な潰し込み。
  • 本番想定セット練習(連続試飲+即マーク)。
  • 「攻め/守り」の切り替え判断の確認。

全体スケジュール(目安)

期間フェーズ主眼到達目標
今〜随時0フェーズそもそも論/試験全体像過度な神格化を捨て、合否試験として戦略を持つ
〜8月前半(※まだの人も9月までには完了)第1フェーズ基礎力養成(知識再構築+フォーム+アウトライン)根拠を伴う仮説立て(品種・産地の同定候補を複数提示)
〜8/20ごろ1.5フェーズ過去問分析頻出・配点の傾向把握/自分の仮説作り
8/25〜9/20第2フェーズ試験仕様に最適化(知識の固定化/統計×アウトライン/マーク戦略)白約20種・赤約20種の選択問題化&マークの型完成
9/21〜本番前日直前期実戦練習・微調整時間配分固定/弱点潰し/攻守切替の精度UP
一歩一歩 確実に 積み上げるのがテイスティング 2次試験対策です。 (写真は 7月に登った 八ヶ岳 赤岳だよ)


お知らせ:レコール・デュ・ヴァン新宿校 シノハラオリジナルの講座「凡人のテイスティング術 試験即応編」

この記事で説明した第2フェーズ(試験完全対応)の内容を、9月前後の複数回でまとめて学べる少人数制講座を、レコール・デュ・ヴァン新宿校で開講します。
受講生一人ひとりのマーク解答を私が直接チェックし、
「このマークはこう直す」「この用語の組み合わせは矛盾」「アウトラインが取れていない」
「安全パイばかりで点が伸びない」「逆にトリッキーすぎる」など、個々の癖に即した指導を行います。

対面の強みは、その場でのフィードバック→即修正→再現性の獲得にあります。
ご興味ある方は以下から詳細をご確認ください。

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予告:知識コンテンツを資料化して順次公開

本ブログでは、品種・産地・醸造・ヴィンテージの知識を、二次試験で使いやすい形に編集した資料を順次公開していきます。
また、「アウトラインの取り方」は詳細版として有料Noteでの公開も検討中です。

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